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理論派ドライバーの自動車日記

EV車にMTが搭載されない本当の理由

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こんにちは、落車王です。EV車にマニュアルトランスミッション(MT)が搭載されない本当の理由を技術的に考察します。一般的なジャーナリストと違い、私はエンジニアですのであくまで技術目線での回答とします。もちろん、異論はたくさんあると思いますが、情を挟むような記事にはしないようにしようと思います。(ちなみに私はMT派です笑) 記事内では最大限、専門用語を控え、ふんわりと記載します。

まず、トランスミッションとはなんなのか?
を説明していきましょう。

トランスミッションとは?

エンジンの小さなトルクを補完するためにある

ソース画像を表示意外と知られていないのですが、トランスミッションはエンジン単体では本来出し切れないようなトルクを減速比を使ってエンジン回転数を上げトルクをだすための道具です。例えば1速のギア比が6速に比べて圧倒的に大きいのは、エンジンの回転数が落ち、トルクを絞り出せなくならないようにするためです。そう、エンジンは低回転が非常に苦手です、加速するのにもある程度の回転数がないとトルクを引き出せないのです。つまり、エンジン単体とトランスミッションの存在自体が必要不可欠な関係にいるのです。

次に、EV車のモータに着目していきます。

モータとは?

低回転でも大トルクで得意、でも高回転は苦手である


ソース画像を表示
モータは入力された電流に対し、トルクの初期応答性が高くほとんど時間の遅れなく最大トルクを出力できます(電流位相分の遅延程度)。しかしながら、高回転になればなるほど磁束が高密度化するのに対し、磁束を強める鉄ヨーク等では回収できず(鉄損という)に、トルクに変換する効率がどんどん低下していきます。つまり、トランスミッションを付与するのであれば、モータ回転数を極力上げないために、高速走行時のターゲット速度をあらかじめ決定し、高速ギアを装着するのが最も効率が良いのです。実際の日産のNOTEやHonda eなどは、普通車ですが軽自動車とほぼ同じくらいの速度リミッターを持っている理由の一つとしては、こういった兼ね合いからきています。

で、筆者は結局何が言いたいのか?

エンジンとモータの存在は...

対極にある存在である

回転数と徳の比較のカーブのイメージを以下に記載しました。どちらがモータ?エンジン?かわかりますでしょうか。車好きのあなたはわかったはず。

f:id:rakushaking:20210912103128p:plain左がエンジンで、右がモータが正解です。エンジンについてはアイドリング以下の極低回転ではメカ的にトルクが伝わらないため、トルク0の表記としています。モータは低回転が得意で、エンジンは高回転が得意です。そうなんです、モータはわざわざトランスミッションを介して減速比を使い回転数を上げる必要がない(=トルクが出なくなり効率も悪い)ため、トランスミッションを付ける必要が本来は特にないのです。さらに言えば、トランスミッションは機械損も大きいので、効率を考えればトランスミッションの存在自体がないのが最も効率が良いのです。私の構想では、EV車は最終的にはクラッチすら消え、例えばリバースギアすらなくなり、内部の電流スイッチの方向を変えるだけで、前後の移動方向の切り替えができるようになると思っています(ダイレクトドライブ方式)。つまり、トランスミッションの複数のギアを介して駆動を伝える必要がないため、EV車にはMTが装備される可能性は技術的に限りなく少ない、と結論付けることができます。

今起きようとしていること

100年以上続いたエンジンとトランスミッションの両方が同時に消えようとしている

※これ以外にEVにMTがつかなそうな理由としては、人間が主導権が握れるMTでは先進安全ADASと激しくアンマッチ。現にオートクルーズコントロール(ACC)では極低速で制御が切れてしまう(エンジンであればエンスト防止)。さらに、MTとロースピードフォロウィング(LSF)を同時実装した車がまだこの世にない。また、EV+MTで自動ブレーキを実装した場合、停止した際にエンジンであればエンストして止まれるものの、EVだとその強いトルクで制御終了後に停止せずそのまま障害物に衝突する可能性がある。(*フルモデルチェンジ車両は2020年以降、法規的(UN-R,FMVSS,GB)に自動ブレーキの装着はマストです)

おまけ(ハイブリッド方式って何?)

ちなみに、ハイブリッドの考え方はこれです↓。
ここまでの説明で理解できていれば、大体わかるはずですよね。

f:id:rakushaking:20210912103401p:plain
重ねてみると、こんな感じになります☝

f:id:rakushaking:20210912103638p:plain
言いたいことはこれです、効率が良い領域を分担して駆動を変えていくのがハイブリッド方式です。専門的に言えばこれはパラレル型ハイブリッド方式です(トヨタ、ホンダ方式)。一方で、どの領域でもモータを使うために、エンジンで発電し続けているシリーズ型ハイブリッド方式は例えば日産e powerです。上の図を考慮すると、e powerはめっちゃ効率が悪いので私が購入することはないのも同時にお分かり頂けると思います。もちろん、上記の回転数の切り替え領域も、その国や環境においてどの速度域を多用するかなどで切り替えのタイミングをギア比などでエンジンのチューニングを施しているはずです。実際のところ、ハイブリッド方式にCVTが多いのは当たり前なのもわかりますよね。最大トルクの回転数をキープしてモータから受け渡された方が効率がいいのですから、わざわざトルクバンドを外してしまうステップATにする必要はなく、上のギアの選定をわざわざしなくても無段階で切り替えができてしまう。このご時世では毛嫌いされていますが、素晴らしい技術だと私は思います。
しかしながら、MTの生き残る道としては、まだ存在しています、それはパラレル型ハイブリッド方式+MTです。
ソース画像を表示
知っていますでしょうか?この車。ハイブリッド方式+MTのホンダCR-Zです。この車はもっと評価されるべきです。ハイブリッド方式+MTはこの生き残り方が最も現実的であると私は思います。ホンダあるあるですが、やはり出るのがはやすぎたというところでしょうか笑


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